約 511,710 件
https://w.atwiki.jp/idolversus/pages/202.html
特徴《ツンデレ》 《ツンデレ》のカードリスト漆黒の過去 -The past of black- 特徴《ツンデレ》 文字通りツンデレキャラに付与される。 《ツンデレ》のカードリスト [部分編集] 漆黒の過去 -The past of black- 【ドリーミーガール】桜井夢子
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/379.html
392 名前:【SS】桐乃留学中「あやせ視点」1/3[sage] 投稿日:2011/03/03(木) 01 14 33.48 ID 9G6uTGZh0 [1/3] アニメ12話TRUE ROUTE~原作6巻第1章迄を、あやせ視点で書いてみました。 原作のネタバレを含むので、アニメしか見てない方はご注意を。 『桐乃、なんか様子おかしくなかったか?』 昨日お兄さんが変なこと言うから、いつもより早く来ちゃった。お兄さんの言葉を思い出しながら桐乃の家に向かう。 いつものように授業受けていたし、おしゃべりしたりお弁当食べたり。特に変わったところとか無かったよね? なんてことを考えていたら、桐乃の家の前にお兄さんがいるのが見えた。 「おはようございます。お兄さん。珍しいですね、こんな時間に外にいるなんて。」 「…あやせ。おまえが今日ここに来るってことは、桐乃から何も聞いていないんだな?」 「なんのことです?それより桐乃いますか?」 「桐乃ならいねーぞ。」 「え?もう学校行っちゃったんですか?」 「…いや、あいつは今ごろ成田空港に向かってるはずだ。」 「何をわけのわからないことを言ってるんですか?」 「あいつはおまえにも俺にも何も言わずに、アメリカ留学を決めちまったらしい。」 「…どういう…こと…ですか…?私…桐乃から何も聞いていませんよ?」 「俺だって何も聞いてねえよ。ついさっき親父とおふくろから聞いたばっかだ。」 「…嘘、嘘、嘘っ!!桐乃が私に黙って行っちゃうなんて、ありえません!」 「あやせ…。気持ちはわかるが、そういうことだ。」 「…………。」 私はフラフラと学校の方へ向かって歩き出す。 あの嘘つきお兄さんの言うことだから冗談に決まってる…。 教室に入ればいつもの笑顔で『おはよう。あやせ。』って言ってくれるはず…。 そんな期待は無惨にも打ち砕かれた。 「高坂のことだが、今日からロサンゼルスにスポーツ留学することになった。おそらくみんなは何も聞いていないだろう。 本人の強い希望で、誰にも言わないでくれと言われててな…。だが、一年間だけの短期留学だ。 またすぐに会えるし、高坂もいろいろ悩んでのことだろうから責めないでやってくれ。」 教室はざわめいているようだったが、私にはよく聞こえなかった。 先生の言うことも途中からあまり覚えていない。 頭の中は真っ白だった。 私は毎日泣いた。さすがに人前では泣くことは無かったが、一人になると桐乃のことを思い出して泣いてしまう。 そんな日々が一週間ほど続いた。それでも撮影の日はやって来る。 今日は何回NG出しただろう?モデルを始めたころ、桐乃に言われた 『どんな時にも胸を張って、笑顔』という言葉だけを支えになんとか持ちこたえていたが、それももう限界だった。 …モデル、やめちゃおう…かな…。 393 名前:【SS】桐乃留学中「あやせ視点」2/3[sage] 投稿日:2011/03/03(木) 01 15 19.69 ID 9G6uTGZh0 [2/3] 休憩に入りベンチでうつむいている私に加奈子が話しかけてきた。 最近私と同じ事務所に入り、今日は現場が一緒なった。 本当は私が撮影経験の少ない加奈子にいろいろアドバイスしてあげなきゃいけないのにね…。 桐乃が私にしてくれたように。あ…。また桐乃のこと考えたら涙が……。そんな私に加奈子は、 「桐乃、黙ってアメリカ行っちゃうなんて、薄情な奴だよな~」 「…………。」 いつもなら首を締め上げるところだけど、今の私にはそんな気力も無い。 「でもよ~、あやせもつらいと思うけどさ…、桐乃はもっとつらいんじゃね?」 私はハッと顔を上げた。加奈子の言う通りだ。 一人きりでアメリカへ行った桐乃。不安じゃないわけがない。 私以上に寂しい思いをしてるに決まってる。それでもきっと頑張ってるはず…。 「…ごめんね加奈子。このままじゃ…いけないよね。 よし!私、決めた。桐乃が帰って来るまでもう泣かない。だから…、加奈子も泣かないで!」 「うっ…ううっ…ひっく…ぐすっ」 私はそっと加奈子を抱きしめた。 そうだよね。加奈子だって寂しかったんだ。私は一人じゃなかった。桐乃のことを大切に想っている仲間がいるんだ。 いつまでもクヨクヨしていられない。私は桐乃のために何かできることはないだろうか…。 「あっ。そうだ加奈子。ちょっとお願いがあるんだけど。」 私と加奈子は事務所の社長にお願いをしに行った。 前に桐乃がインフルエンザで倒れた時と同じく、桐乃の仕事の穴を埋めたいと。 桐乃が帰ってきた時にいつでも復帰できるように。いつもの居場所に戻れるように。 それからの毎日は多忙を極めた。けれど仕事に追われていると、桐乃がいない寂しさを紛らわすことができた。 もちろん、桐乃のことを忘れるためなんかじゃない。むしろ毎日桐乃のことを考えている。 桐乃の居場所を護るための忙しさは、私の心の支えになっていた。 桐乃から連絡が無いまま三ヶ月が過ぎたある日、 麻奈実お姉さんの携帯を借りてお兄さんが電話してきた。 「ちょっと、おまえに聞きたいことがあってさ。」 「聞きたいこと?」 「おう。妹のこと―なんだけどさ。」 「桐乃の……こと、ですか。」 「ああ。あれから―おまえんとこに桐乃から連絡とか入ってるか?」 「……ないです。あれから一度も……。私からは、何度もメールしてるんですけど……。ぜんぜん返事……こなく、て。」 泣かないと決めていたのに、久しぶりの桐乃の話題に涙が込み上げてくる。 「お兄さん……私……桐乃に、嫌われちゃったんですかね……。」 「んなわけねーだろ!」 394 名前:【SS】桐乃留学中「あやせ視点」3/3[sage] 投稿日:2011/03/03(木) 01 15 30.67 ID 9G6uTGZh0 [3/3] 突然声を荒げるお兄さんに、何か既視感を覚えた。前にもこんなことあったな……。 そうだ。桐乃の趣味のことで喧嘩して、私が涙声で 『その趣味って私よりも大切なものなの?』 『そんなわけないでしょ!』と、桐乃に怒鳴られたあの時だ。 「……あいつがおまえと喧嘩しちまって、どんだけ辛そうにしていたのか……。俺はよく知ってるよ。そんなあいつが、 おまえのこと嫌いになるわけがない。つかさ、そんなの、俺なんかが言わなくたって……おまえが一番分かってることだろが。」 「……そう、ですよね……。ごめんなさい。」 「いや、こっちこそ、悪かった……怒鳴っちまって。」 自分のことじゃないのに、こんなに必死で…、一生懸命で…。まったく…この二人は本当に似たもの兄妹なんだから…。 「お兄さん?あの、桐乃が、どうかしたんですか?もしかして、事故、とか―」 「いや、何にもないよ、安心しろ。」 嘘。お姉さんの携帯借りてまで私に連絡してくるなんて、何もないわけがない。 事故とかでないにしろ、桐乃からなんらかのメッセージがあったのかも……。 でもお兄さんは私に心配かけまいとして、きっと嘘をついている。 なんだかんだ言っても、この人はとても優しい…。きっと桐乃もお兄さんのこういうところが大好きなんだろうな…。クスッ。 そこで私はこんなことを口にする。 「桐乃が連絡してくることがあるとしたら……きっとお兄さんのところだと思うんです。 …………その時は、どうか、桐乃の力になってあげてください。」と。 心の底からそう思った。 「……分かった。」 そして通話を終えると私は一人つぶやく。 まかせましたよ。お兄さん。 それから数日後、桐乃から携帯に着信があった。 授業中で出られなかったが、留守電に謝罪と、明日帰るという旨のメッセージが残されていた。 折り返しすぐに電話したのだが、出てもらえなかった。急な帰国で手続きなどが忙しいんだろう。 私も留守電に、桐乃が成田空港に到着する日時は仕事で行けそうにないことと、 桐乃が家に戻ってきたら、都合がつき次第すぐに会いに行くよ。というメッセージを入れておいた。 ……久しぶりに聞いたな…、桐乃の声……。思ったより元気そう…。 さすがはお兄さん。一年は帰らないと聞いていた桐乃を説得して、留学途中で連れて帰るなんて私には絶対無理。 きっとあの二人には、私の届かない…深い…深い絆があるのだろう。 あの日、私が気が付かなかった桐乃の異変を感じていたようだし…。 私はお兄さんへの敗北感を覚えながらも、心の中は妙に穏やかだった。 なんだか妬けちゃうな……。でも悔しいから今度桐乃に会う時は、お兄さんの前で、 おもいっきり桐乃に抱きついちゃおうかなっ! ~終~ -------------
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1225.html
312 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 08 14 ID gA0Krdgw 「早く昼休みにならないかしら…」 多くの生徒が惰眠と、喪失感を味わう五月。 だらけきった教室の中で、ただ一人、七尾だけが目を爛々と輝かせながら、授業を受けていた。 今は四時限目。この授業が終わったら昼休みだ。 彼に会える。たったそれだけのために、彼女は学校に来ていると言っても過言ではない。 空腹は最高の調味料、と言うのと同じで、恋にとって焦らしは最高の調味料なのだ。 だがしかし、最高の調味料といえども、過ぎたるは及ばざるが如し、とはよく言ったものだ。 まったく分針が進まない。秒針は世話しなくグルグル回っているというのに、 分針はさっきから四十分の所で止まっている様に七尾には見えた。 後五分で昼休みだが、その五分が異様に長い。 早く動け、分針!七尾はそう時計に向けて念じる。 七尾が念じれば念じるほど、彼女の金色の髪が、まるで炎の様にメラメラと揺らめいた。 黒板の前にいる教諭は、それが見えるだけに、彼女に対して問題をあてなかった。 あてたら最後、とんでもないとばっちりを受けそうなのは、目に見えていたからだ。 教職という、聖職者の位にいる人でも、やはり自分の身がかわいいのは当然のことの様だ。 七尾の念が通じたのか、遂に昼休みになった。 多くの生徒が、級友達と机を合わせて弁当を食べる中、 七尾は弁当を持って、二つ隣の教室の前に立っていた。 この中に彼がいる。 七尾は息を整えると、勢いよくドアを開けた。 313 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 08 45 ID gA0Krdgw 「幸斗、き…今日、お弁当作り過ぎて余っちゃったから、あんたにあげるわ。 べ…別に、あんたのために作ったんじゃないからね」 幸斗と七尾の関係は、七尾が高校に上がる前のことまで溯る。 買い物をしに東京に来た時、彼女に目を付けたクズのチンピラ達が絡んできたのだ。 大声を上げようとしたが、チンピラに口を塞がれ、路地裏に連れて行かれた。 このままでは輪姦される、と思ったが、声を出そうにも出せない。 七尾は自分の不幸を呪いつつ、目を閉じた。 しかし、いつまでたってもなにも来ないので、目を開けてみると、角材を持った男がそこにいた。 「大丈夫ですか?」 そう言って、男は手を差し伸べた。 七尾は見惚れてしまったが、つい照れ隠しで、 「なに勝手なことしてんのよ!」 と怒鳴って、その場から立ち去ってしまった。 後になって、七尾はそのことを後悔した。 均整な顔付きといい、チンピラ達をのしてしまう強さといい、優しさといい、 それら全てが、七尾のストライクゾーンど真ん中だったからだ。 家に帰ってから、七尾はそのことを思い出すたびに枕を濡らした。 高校に上がってからも、七尾は鬱屈として高校生活を楽しまなかった。 しかしある時、七尾は二つ隣の教室から、男が出てきたのを偶然見付けた。 急いでその教室の生徒に、男の名前を聞くと「川原幸斗」と教えてくれた。 まるで漫画の様な展開に、七尾は運命を感じた。 そして、今まで信じてこなかった神様に、初めて本気で感謝した。 314 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 09 34 ID gA0Krdgw その日以来、七尾は幸斗のために弁当を作っている。 いろいろ愛情を込めたせいか、弁当は余り物と言うには矛盾するくらいの量になっている。 幸斗は七尾が来ると、露骨に嫌な顔をした。 「あの…、七尾さん。僕、ずっと前から言ってますよね?弁当は自分で作るからいらないって」 幸斗がこう言うと、 「あんたねぇ、私がせっかくお弁当を分けてあげるって言ってるのよ! 男だったらつべこべ言わずに食べなさい!」 と、七尾が返すのが日常茶飯事となっている。 周りからは夫婦漫才と揶揄されるが、七尾は夫婦と言われるたびに、 お腹の中がキュッとなる感じがした。 正直、七尾は幸斗が好き…いや、愛していた。 頭が良くて、強くて、かっこよくて、優しくて、かわいくて…全部あげたら限がないが、まるで、 名前の通り、この世の幸せを全て集めたかの様な男性だ。 もし、彼が自分のことが好きだと言ってくれたら、襲い掛かっている。間違いなく、絶対! そう思いながら、妄想の中で幸斗を押し倒している七尾を、 幸斗の一言が強制的に現実に引き戻した。 「あんなのを毎日食べてたら、僕が死んじゃいますよ!」 さすがにこの一言には七尾もショックを受けた。 全ては幸斗のためにやってきたことが、彼を苦しめていたとは、七尾は思っても見なかった。 結局彼のことを分かってないと思った七尾は、目に涙を浮かべ、 「い…いいわよ。分かったわよ! せっかく私が好意でお弁当をあげてやってるのに、 食べないって言うなら、もうお弁当が余っても、あんたには絶対あげないんだからね!」 と、つい捨て台詞を吐いて出て行ってしまった。 教室に戻ってから、七尾はそのことを後悔した。 315 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 10 06 ID gA0Krdgw 「どうすればいいのかしら…」 七尾は悩みながら下駄箱までやって来た。 弁当を作らなかったら、幸斗の教室に行く大義名分が消える。 それだけはなんとしても阻止したい七尾は必死で考えた。 ふと顔を上げてみると、幸斗が下駄箱で靴に履き替えていた。 近付いてみると、幸斗は口を動かしていた。七尾は幸斗の口の動きに全神経を集中させた。 「さすがにあれは言い過ぎたかな…」 と、聞こえた。 あれとはお弁当のことだろう、と察した。 あれは自分が悪いのに、幸斗は自分以上に悩んでくれてる。 やっぱり、幸斗は優しい。七尾はそう思った。 再び幸斗の口の動きに全神経を集中させる。 「本当にもう少し弁当の量が減ってくれれば、喜んで食べるんだけどな…」 それを聞くと、いてもたってもいられなくなり、七尾は幸斗に声を掛けた。 「それ、本気で言ってるの?」 「えぇ、本気…って、うわぁ!な…七尾さん。いつからそこにいたんですか!?」 驚かれて少しショックを受けたが、驚いた時の幸斗はすごくかわいい。 「あんたが間抜け面でブツブツ呟いてた時からよ。それに、人を幽霊みたいに失礼ね」 だが、それを悟られない様にあえてそっけなく言った。 ここであえて、胸を強調する様に腕を組んだ。一般の高校生より遥かに発育した胸を、 これでもかとばかりに幸斗に見せ付ける。 それを見た幸斗は、慌てて目線を下にして、 「…で、なにか用ですか?」 と、言った。照れる幸斗もかわいい。 自分のアソコがぐちゅってなった。彼に聞こえたかも、と心配になった。 「き…今日、私と一緒に帰りなさい」 とりあえず、いつもの様に彼を誘った。彼と帰りたいというのもあるが、 彼を狙っている女に牽制するのが本当の狙いだ。 「あの…いつも思うんですけど、あなたの家、隣のアパートなんだから、 一緒に帰る必要ないんじゃ…」 でも、いつも彼はそのことを察してくれない。鈍すぎるのも考え物だ、と七尾は思った。 こうゆう時は、あれしかない、と七尾は目に涙を溜め、無言で幸斗を睨み付けた。 これで大体の願いを幸斗は聞いてくれる。 「わ…分かりましたよ…。一緒に帰りましょう…」 案の定、彼は承諾してくれた。 「まったく…、一緒に帰りたかったら最初からそう言えばいいのに…」 嬉しさを隠すために、あえてまたそっけなく言った。心の中ではガッツポーズを取っていた。 316 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 10 41 ID gA0Krdgw 家に帰ると、七尾はベットに突っ伏した。 「幸斗…幸斗ぉ…」 七尾は自分の胸に手を置き、空いた手をアソコに導いた。 今日は思わぬ収穫があった。 幸斗と一緒に帰っている時、偶然幸斗の手が自分の小指に当たったのだ。 あの時はつい怒鳴ってしまったが、本当はとても嬉しかった。 初めて、幸斗に触れられた。その事実が、七尾の恋情を加速させた。 自分の胸が潰れるくらい揉みしだく。乳首は硬くなり、摘むと頭の中が破裂しそうになった。 本当は、幸斗に揉んでもらいたい。吸ってもらいたい。嬲ってもらいたい。 そう思うが、幸斗は一向に自分のこの気持ちに気付いてくれない。 「つらいよぉ…苦しいよぉ…もどかしいよぉ…」 うわ言の様に呟いて、七尾はアソコに当てた手を動かす。 陰唇の周りを撫で回し、感度を上げていく。 次第に自分の陰核が勃起しているのに気付いて、それを摘んだ。 一瞬、気が遠くなった。体が痙攣して、愛液がほとばしる。 放心状態になったが、かまうことなく膣の中に指を入れる。 三本、最近になって中に入れられる様になった指の数だ。 中に入れると、膣内が蠢き始め、指に絡み付いた。 まるで、自分が幸斗に犯されている様な感覚に陥った。 枕を噛んではいるが、どうしても声が漏れてしまう。 「ゆ…幸…斗ぉ……わ…私がこんな身体に…あっ…なっちゃったのは、 ん…ぜ…全部ゆ…幸斗の…せ…せいなんだからね…。せ…責…任…あふ…と…取りなさい……」 指を動かすスピードを加速させる。自分の中のなにかが、 どんどん込みあがってくるのが自覚できた。 「んぁ…ん…も…もう…駄目ぇ…」 愛液と尿を撒き散らし、七尾はそのまま果てた。 317 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 11 19 ID gA0Krdgw 七尾にとって、六月は祝日がない分、幸斗と一番多く接する事のできる月だと認識している。 ただし、行事がないので発展も期待できない月だとも思っている。 要するに、中途半端な月なのだ。その様な月は、自分が行動を起こすべきである。 そう考えた七尾は、この日ついに行動を起こすことを決心した。 昼休みになって、七尾はいつもの様に幸斗の教室に向った。ただ、いつもと違うのは、 「今日から、私もここで食べるわ」 そう言って、有無を言わさず空いている机を幸斗の机にくっつけたことだ。 幸斗と昼食が食べられるのは嬉しいが、その隣に座っている男が邪魔だった。 名前は知らない。いや、別に知る必要はないが。 昼食の件になると、その男がしきりに話し掛けてきたが、それを無視し、 「そういえばさ、あんた、彼女とかいるの?」 強引に幸斗に話題を振った。 空気男をあしらえるし、現在の幸斗の周辺を探ることが出来るので一石二鳥、と考えたのだ。 「いませんけど…、なにか…?」 期待通りの答えが返ってきたので、七尾は満足した。 幸斗に弁当を持ってきたり、一緒に帰ったりなどして、彼を狙う女達に牽制を掛けてはいるが、 中にはそれを掻い潜る強者がいるかもしれないので、直接聞かないと確信が持てなかったのだ。 「やっぱりね。あんたみたいな奴に女がいるはずないか」 安堵の気持ちを隠すため、あえて憎らしく言う。 「それ、地味に傷付きます…」 幸斗が目に見えて落ち込んだ。 彼を落ち込ませるのは本意ではないが、今は我慢。 ここで折れたら、今まで進めてきた『IILE計画』が無駄になる。 ちなみに二つのIは焦らす(irritate)のI。 Lは最後(last)のL。Eは食べる(eat)のE。 要するに、「焦らして焦らして最後に食べる」という意味だ。 文法がおかしい?そんなことは別にどうだっていい。 とにかく、今は非情に徹する時なのだ。 一番辛いのは自分なのだが…。 「そう言う石川さんにはいるんですか、彼氏?」 さっきまでいい具合に無視していた空気男が、横から口を出してきた。 こいつ、なかなかいい質問をする。 空気男から残り香に格上げしてやろうかしら、と七尾は思った。 「私に見合うような男はこの学校にはいないわ」 この際、はっきり言っておいた方がいい。 この学校には自分の身の丈を顧みない馬鹿が多い。 この男が、それを言い触らしたら、断る手間が省けるのでそれはそれでいい。 そしたら、この男の格を、残り香から刺激臭ぐらいに格上げしてやってもいいと思う。 しかし、私の答えに、幸斗と残り香は顔を見合わせて笑った。 幸斗は別にいいとして、残り香が笑うのは気に食わない。 やっぱり、この男の格は空気…いや、この際だから無味無臭でいいや。 「あの~、もう一つ聞きたいんですけど、なんでいつも幸斗に弁当持ってくるんですか?」 無味無臭がしつこく聞いてくる。答えなくてもいいが、無視するとしつこそうなので、 「前から言ってるでしょ。作りすぎて余ったから、仕方なくこいつにあげてるって」 特別に答えてやった。無味無臭の分際で教えてやったんだから、ありがたく思って欲しい。 「それって毎日の様に起こることですか? それに、なんでよりによってあげるのが幸斗なんですか?」 こいつ、本当にしつこい。それに痛い所を突いてくる。馬鹿なくせに。 「そ…それは、知らない奴にあげたら、そいつが盛って襲い掛かってくるかも知れないじゃない」 とりあえず、当たり障りのない様に答える。 「つまり、石川さんは幸斗のことをだいぶ前から知っていたと…」 無味無臭がなにやら確信に迫った様な聞き方をしているのは気のせいだろうか。 「そ…そう言うことになるわね…」 とりあえず、肯定の答えしか出来なかった。 「ふ~ん…」 一瞬、無味無臭が笑った様に見えた。もしかして、この後の展開を予知したのだろうか。 だとしたら、この無味無臭は超能力者なのかもしれない。馬鹿なくせに。 昼食を食べ終わると、七尾は自分の教室に帰った。 今回はいろいろ収穫があった、有意義な昼休みだった、と七尾は思った。 318 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 12 17 ID gA0Krdgw 七月になった。多くの学生にとっては期末考査などの試練の時であるが、 七尾にとってもある意味試練の時であった。 「IILE計画」も最終段階に入ったのだ。 今まで幸斗に対して冷たい態度を取ってきたが、それももうすぐ終わる。 決行は終業式の日。 場所は放課後の屋上。本当は校舎裏と言うのもよかったが、あそこは蚊が多いので止めた。 幸斗に自分の気持ちを伝える。そして、夏休みを彼と過ごすのだ。 本当は幸斗自身からの告白のほうがいいのだが、彼は恥ずかしがり屋だから無理だろう。 私自身が動かなければならない、と七尾は思った。 本当は今すぐにでも告白したいが、我慢する。 焦らして焦らして、最後に美味しく食べる。そのためなら二週間など耐えられる。 大丈夫、幸斗は逃げない。七尾は楽観的に考えていた。 だが、テスト期間に入った、ある日の昼休み。 いつもの様に幸斗の教室で弁当を食べていると、幸斗が急に切り出した。 「二人とも聞いて。実は僕、付き合うことになったんだ」 箸が止まった。おかしい。幸斗は誰とも付き合っていないと言ったのに。 「マジかよ!?誰とだよ?」 「このクラスの中山美優さんだよ」 中山美優…。七尾の頭の中でその名前が反響した。 「幸斗、お前、美優さんと付き合うのか! 俺はてっきり、石川さんと付き合うもんだと思ってたぜ!」 無味無臭の言う通り、私もそれが当然だと思っていた。 だが、幸斗が決定的なことを言った。 「だから、そんなんじゃないって言ってただろ。 僕と七尾さんはあくまで友達。そうですよね、七尾さん?」 「そ……そう…よ…。わ…私達は…あくまで…友…達…よ…」 違う!本当は、こんなことを言いたいのではない。だが、口から出てきたのは、 自分の思っていることとは反対の言葉だった。 「それから七尾さん。明日から弁当作ってこなくていいから」 ショックに打ちひしがれている七尾に、幸斗の言葉が追い討ちをかける。 「えっ…!どう…して…!?」 「明日からは美優さんが弁当を作ってくれるって言うから。今までありがとう。七尾さん」 それだけは駄目。そんなことになったら自分の存在意義がなくなってしまう。 分かってる。分かっているのに、口から出てきたのは、 「えぇ…私もこれから早起きしなくて清々…するわ…」 いつもの様な、憎憎しい言葉だった。 この後、幸斗はなにかを言っていたが、まったく聞き取れなかった。 いや、実際は聞こえていた。でも、頭の中が強制的にその言葉を遮断したのだ。 放課後になって、幸斗の後を付けて下駄箱に向かうと、 そこでは幸斗と楽しそうに話す美優の姿があった。 本来ならば、その隣にいるのは私なのに…どうして…?どうしてどうしてどうしてどうしてっ! どうして彼はあんな女を選んだの!?私のほうが、彼のことを誰よりも知っている! 彼のことを誰よりも一番愛せる!彼のためなら死ねる!彼のためなら誰だって殺せる! 分からない!理解できない!!納得できない!!! 彼は私と結ばれるべきなのだ!結ばれなければならない!!結ばれる運命なのだ!!! その様な自問自答を繰り返す。考えれば考えるほど、七尾の思考は闇の底に堕ちていった 「………そうか……そうだ…そうだよ…これは…幸斗は、私を試してるんだね…。 私の愛が本物か…試してるんだね…。そうだよね…そうに決まってるよね…。 彼は私のことが好きなのに…あんな泥棒猫とくっつくわけないもん…。 あっはははは…分かったよ、幸斗…私…やるから…。 あなたの望む、合格点を必ず出すから…頑張るから…待っててね…ふふふ…あっはははは…」 淀んだ瞳でそう呟くと、七尾はふらふらとした足取りで、家に帰っていた。 319 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 13 07 ID gA0Krdgw 終業式の日になった。本当はこの日に幸斗に告白をするつもりだったけど、 もうそんなことはどうでもよくなった。 ただ単に、告白の日が、試練の日になっただけだから。 終業式が終わり、生徒達が教室に帰る中、七尾はまっすぐに美優の元に向った。 「美優さん。お話があるんですけど…」 七尾はそう言って、美優の手を引いて歩き出した。 「ちょ…ちょっとどうしたんですか!?」 「ここでは話しにくいので、付いてきてください」 美優の言葉を半ば無視して、七尾は体育館から少し離れたトイレに美優を招き入れた。 「あの…こんな所で、いったいなんの話があるんですか?」 「美優さん。あなた、幸斗と付き合ってるんですってね…」 七尾の唐突な質問に、美優は少し驚いた。 「えっ!えぇ…そうですけど…」 驚いた中にも、どこか嬉しそうに美優は答えた。 当然だ。お前は今、幸斗というこの世でもっとも崇高な人間と付き合っているのだ。 お前の様な、薄汚く、下劣で、下等な泥棒猫が付き合うにはもったいないぐらいに!! でも大丈夫。今すぐ起こしてあげる。 お前が見ている幸せな夢から、本当の現実の世界に戻してあげる!! 「嘘……ですよね…?」 「はぁ…?」 七尾の言葉が理解できないらしく、美優は疑問の声を上げた。 「あなたが…幸斗と付き合ってるなんて…嘘なんですよね…?」 七尾は今度ははっきりと、美優に言った。 「なに言ってるんですか、七尾さん。私は彼から直接…」 凄まじい音が響いた。七尾が美優の言葉を遮る様に、美優を壁に強く押し付けたのだ。 「つ…な…なにするんですか!?七尾さん!?」 「ふざけたこと…抜かさないでくださいよ、美優さん…。 私…知ってるんですよ…。あなたが勝手に幸斗にくっついているだけだって…。 それで彼と付き合ってるだなんて…誇大妄想にも程があります…」 「こ…誇大妄想なんかじゃ…」 再び、美優の言葉を遮る様に、風を切る音が、美優の耳元で聞こえた。 見てみると、どこから取り出したのか、七尾の手には包丁が握られていた。 「ひっ…」 美優の口から悲鳴がこぼれ出た。 「もう一度…聞きますね…?あなたが幸斗と付き合ってるなんて……嘘……ですよね…」 ゆっくりと、平坦な声で、美優に語りかける。 「あ…あなたの方が、誇大妄想じゃ…」 風を切る音。再び壁に包丁を突き立てられた。 「ひっ…」 「私はそんなことを聞いてるんじゃないんですよ? もし…また関係のないことをほざいたら…今度は…」 七尾はそう言うと、包丁を引き抜いた。包丁の切っ先は、美優の首に向けられていた。 もしも、意に適わないことを言えば殺す、と七尾は暗に言っていた。 美優は歯の根が合わず、ガチガチと歯を鳴らした。 「……は……はい…そう…です…わ…私は……う…嘘を…つ……吐いて…いました…」 美優が目に涙を溜めながら、途切れ途切れに言った。 「やっと正直に言ってくれましたね。それじゃあ、今言ったことを、 幸斗にも言ってくださいね」 包丁の切っ先は、未だに美優の首に向けられている。 「ひっ……わ…分かり…ました…。今日…放課後に……幸斗さんに……ちゃんと…言います……」 美優は、強制的に幸斗と別れざるを得なかった。 七尾は悲しみに沈んでいる美優に、淀んだ瞳を向けた。 その瞳には、勝利を確信した喜びだけではなく、狂気も含まれていた。 320 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 13 48 ID gA0Krdgw ホームルームが終わると、七尾は幸斗の教室に向った。 教室を覗いてみると、幸斗が机に突っ伏していた。 どうやら、雌猫はしっかりと言ったらしい。 本当は屠殺してやりたかったが、そんなことをしたら、身体があの雌猫の血で穢れてしまう。 身体が獣臭くなったら、きっと彼は嫌がるだろう。 私は今、試験を受けているんだ。合格点を出さなければ、私は捨てられる。 必死に考えて、出した答えが、これだ。きっと、彼も認めてくれるだろう。 もう一度、教室を覗いてみる。 幸斗は未だに机に突っ伏して動かない。 試験のためとはいえ、あんな雌猫に振られたのだ。心優しい彼は、傷付いているのだろう。 でも、大丈夫。今すぐにでもこの私が慰めてあげる。 あの雌猫も出来なかったことを全部してあげる。 七尾は教室の中に踏み込み、まっすぐに幸斗の元に向った。 「ぶざまねぇ~、幸斗」 まずはいつもの様に憎らしく声を掛ける。 「七尾さん…。今はしゃべりかけないでください…。すっごくへこんでるんで…」 顔を上げた幸斗は目の辺りを赤くしていた。 泣き顔の幸斗もすごくかわいい。今すぐにでも抱きしめて慰めたいが、我慢。 「数週間前まではあんなにへらへら気持ち悪いくらい笑ってたのに、 その落差を見ると、笑いが止まらないわね」 それにしても、よくもまぁこんなに思ってることと違うことが、 ペラペラと言えるのだろう?自分でも不思議に思った。 「まったく、いつまで泣いてんのよ。男でしょ、あんた」 もしかして、自分にはSっ気があるのだろうか。…どうしよう、少しぞくぞくする。 「だったら、少しぐらい慰めてくださいよ」 彼が…彼が私のことを必要としてくれている。あぁ…どうしよう…アソコが湿ってきた。 「慰めてほしいの?慰めてほしいんだ?そんな年して…。あっ…あっはははは…」 でも…まだ駄目…。後…後少しだけ我慢。 「いいわよ、慰めてあげるわ。私の家に来たら、好きなだけねぇ…」 そう、好きなだけ…あなたのことを愛してあげる。 「いや…いいです。もう少し、こうしています。心配してくれて感謝します」 彼はなにを遠慮する必要があるのだろう? もしかして、まだあの雌猫のことを思っているのだろうか。 「あんたねぇ…。いつまで、あの女のこと引きずってんのよ!? あの女はあんたのこと捨てたんでしょ!?だったらあんたもあの女のこと忘れなさいよ!」 だとしたら、全力でそれを断ち切らなければならない。 人間である幸斗が、あんなのとくっついちゃいけない。獣姦になってしまう。 「………」 幸斗は黙り込んでしまった。悩むことなんてないのに…。 確かに獣を慈しむのはいいことだけど、甘やかすと獣は付け上がるんだよ。 現に、幸斗は優しくしていた雌猫に引っ掻かれたじゃない。 やっぱり、私が教えてあげなきゃいけない…。 「あぁ~、もう!決めたわ!私、なにがなんでもあんたを慰めてあげるわ!来なさい!」 強硬手段だけど、幸斗を引っ張っていくことにした。実力行使だけど仕方がない。 教室の入り口まで引っ張っていくと、 「な…七尾さん。分かりました。一人で歩けますから。だから、手を離してください」 と、言ったのでしぶしぶ手を離した。 「まったく…分かればいいのよ」 本当はもっと手を握っていたかったのだが、まぁいいか…。 だってこれからもっといろいろ触るから…。 321 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 14 19 ID gA0Krdgw 「お茶入れるから待ってなさい」 初めて幸斗を家の中に入れた。 幸斗の匂いと私の匂いが交じり合って、まるでセックスをしている様な気持ちになる。 あぉ…どうしよう、もうショーツもグショグショだ。 私は自分のアソコに手を…いけないいけない。またトリップしていた。 こんな所で失敗したら、それこそ今までやってきたことが水の泡になる。 気を取り直して、まず、淹れたての紅茶の中に、この日のために買ってきた睡眠薬を入れた。 底に沈殿しないように丹念にかき混ぜる。 …あぁ…私のアソコも幸斗のモノでめちゃくちゃにかき混ぜて欲しい。 私は握っていたマドラーを自分のアソコに…いけないいけない。 …なんだか、自分がだんだんアホの子になっている様な気がする。 実物がすぐ目の前にいるのだから、後少しなのだから耐えなければ…。 馬鹿なことをしすぎて、少し待たせてしまった。 紅茶を持っていくと、幸斗は俯いて黙っていた。 「あんたねぇ…まだ落ち込んでんの?しつこいと、誰にももてないわよ」 聞かなくても分かるのだが、とりあえず聞いてみる。 「いいですよ別に…。今年の夏は家で寝て過ごしますから…」 そう言って、幸斗は紅茶を啜った。 「美味しいかしら、それ?」 飲んだのを確認した七尾は幸斗に言った。 「えぇ…、美味し…」 幸斗はそこまで言うと、持っていたティーカップを滑り落とした。 「あら…、ずいぶんと早く効くのね」 まさかこんなに早く効くとは思わなかった。いい薬だな、と七尾は思った。 とりあえず、薬が効いて眠っている幸斗を引っ張り、ベットの上に乗せた。 万が一のため、逃げられない様に両手足を縛っておく。 これで準備完了だ。 「さぁ幸斗…いっぱい愛し合いましょ…」 七尾はそう言うと、自分の服を脱ぎ始めた。 322 :ヤンデレ×ツンデレ ◆AW8HpW0FVA [sage] :2009/04/22(水) 21 15 15 ID gA0Krdgw 始めて見た幸斗のそれは、縮こまっていて、あまり大きくなかった。 「刺激を与えたら、大きくなるかしら…」 なけなしの性知識で、とりあえず幸斗のそれを扱き始めた。 少しすると、幸斗のそれは少しずつ硬くなり始め、 一分も扱くと、最初の時よりも遥かに大きくなっていた。 大きくなったそれを見ると、いろいろ試してみたくなり、 まず胸で挟んで扱いてみた。しばらくすると幸斗のものから知るが出始め、 それがぬちゃぬちゃと水っぽい音を立て始めた。 七尾は幸斗の先っぽから出てくる汁を舐めてみた。 独特な味がしたが、嫌いじゃない。むしろ、幸斗から出たものなのだから、もっと舐めたい。 そう思い、七尾は胸で扱くのから、手で扱くのに変えた。 「な…なにを…してる…んっ…ですか…」 しばらく扱いていると、幸斗が目を覚ました。 「なにって、見ての通り、慰めてあげてるんじゃない」 そう言って、七尾は止めることなく扱き続けた。 「や…止めて…ください…。こんな…度の…過ぎた悪ふざけは…」 この期に及んで、やっぱり彼は鈍いなぁ…。七尾は再びそのことを再認識した。 「あんたねぇ…、ここまでしてるってのに、まだ悪ふざけだって言ってるの? まったく、あんたって本当に鈍感ね…あんたのことが…好きだからやってるのよ」 お仕置きとばかりに、扱く速さをあげた。 扱く速さをあげた直後、幸斗は我慢できなくなったのか、射精した。 幸斗から吐き出された精液が、七尾の身体に飛び掛る。 「あらあら、こんなにたくさん出して…。そんなに溜まってたのかしら?」 そう言って、手に付いた精液を丁寧に舐めた。なんとも言えない味が口の中に広がる。 「そんな、この学校に好きな人はいないって言ってたじゃないですか!」 彼は私の言ったことを信じていた様だ。正直なのはいいことだけど、 やっぱり正直すぎるのもどうか、と思った。 「あんなの嘘に決まってるじゃない。私はあんたのことが好きだったのよ。 私のことを助けてくれた時から…ずっとね」 「でも…いくらなんでも別れてすぐにこんなことをするなん…うぐっ…」 幸斗が、またあの雌猫のことを言い出そうとしたので、七尾は抱きしめてそれを遮った。 「あの女のことはどうでもいいの。私はあの女の様に途中であんたのことを見捨てたりしない。 あんたのためだったら、どんなに恥ずかしいことだってしてあげるから、 あんたの気に入らない所、全部直すから、だから…だからお願い…。私のこと…抱いて…」 やっと自分の言いたいことが全部言えた。幸斗に自分の思いを全部伝えることができた。 そう思うと、七尾は自分の目から涙が流れていることに気付いた。 幸斗が苦しそうだったので、少し離れてあげると、 「ありがとう…。僕も…あなたのことが…好きです…。今まで気付かなくて…ごめん…なさい…」 と、言ってくれた。 七尾は嬉しくなって、再び幸斗を抱きしめた。 その後、七尾は幸斗の縛めを解くと、幸斗に押し倒された。 胸を吸われ、揉まれ、アソコを舐められ、最後に処女を捧げることもできた。 少し痛かったけど、最後はとても気持ちよかった。 今、幸斗は私の隣で疲れて眠ってしまっている。 私は、幸斗の唇にキスをした。 ねぇ幸斗。私、合格よね。合格したんだよね。 合格したから、これからずっと一緒にいてもいいんだよね。 私、もう幸斗から離れないよ。だから、幸斗も私から離れないでね。 もし、幸斗が私のこと嫌いになったら、私…死んじゃうから…。 だから、ずっと一緒にいようね。死が二人を分かつまで、ずっと…ずっと…ずっと…。
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1590.html
【SS】俺と桐乃とコーヒーとおにぎりと 「んん~~! ふう。お、もうこんな時間か」 センター試験も程近くなってきた秋の終わりの夜のこと。 今日も今日とて勉強に明け暮れていた俺である。 夕飯を食べてから一息ついた後、受験生として机へと向かった俺だが、今日は随分集中できたら しい。もうじき日付が変わろうとしている時間になっていた。 「どうりで体が硬いわけだな。背中や首がゴキゴキいいやがるぜ」 ストレッチよろしく首を回したり背筋(せすじ)を伸ばす。 ついでに肩をぐるぐる回したりと一通り体をほぐしたところできゅるると腹が鳴った。 「・・・・・・コーヒーでも飲むか」 腹いっぱいになると眠くなるからと、少し少なめにした夕飯のツケが回ってきちまったようだ。 空きっ腹にコーヒーってのはあんまり良くないんだろうが、夜食なんて気の利いたもんはないしな。 勉強の進み具合は十分だし別に切り上げてもいいんだが、いい感じに集中できたし、誰かさんを 見習ってもうひと頑張りしようかね。 チラリと壁の向こうに視線を向けたその直後、コンコンというノックとほぼ同時にドアが開き、ひょっ こりと顔を覗かせる人物が。 見慣れた茶髪の丸い顔。愛らしい唇に整った顔立ち。深夜ということもあり、ほぼすっぴんだという のにその可愛さは以前保ったまま(むしろ個人的にはこっちのほうが可愛いんじゃないかと思うんだ が)の桐乃である。 「なんだ、起きてたんだ。起きてるなら返事ぐらいしてよ」 俺が起きているとわかると、桐乃はそのまま体を部屋へと滑り込ませそうのたまった。 返事も聞かずにドアを開けたのはお前だろうに。もし俺がマッパだったり、その格好でエロゲとかし たらどうするんだ。やらねえけど。 「んだよ、起きてちゃ悪いのか」 「勉強してたの?」 こっちの言うことは無視かよ。 しかしこんな些細なことに突っこんでも仕方がない。 世の中仕方ないで済ませていいことなんかないとはいえ、諦めが肝心という言葉もある。 桐乃と付き合っていくうえでは、後者が圧倒的に優先されるのである。 「・・・そうだよ。丁度キリがいいからな。ちょっとなんか飲もうと思ったところだ」 「ふ~ん・・・・・・コーヒー、飲む?」 「あん?」 「あ、たしも・・・・・・丁度そんな気分だったしさ。――あんたも飲むならついでにって。洗い物、何度も 出すの面倒でしょ」 まさかのお誘いである。 とはいえ、こちらとしてもそのお誘いはありがたい。 しかし桐乃の淹れたコーヒー、ね・・・。 「んじゃ、お言葉に甘えるか」 「じゃあ早くいこ。あんまりのんびりしてると体が冷えちゃうし。・・・・・・ふぁあ」 桐乃が俺の手を引いて部屋を出ようとしたその時、その口からあくびが漏れる。 よくよく桐乃の顔を見てみれば、目がどことなく眠そうに見えなくもない。 「お前本当は眠いんじゃねえの? コーヒーなんて飲んで眠れなくなってもしらねえぞ」 「そんなのあたしの勝手でしょ」 ふん、と鼻をならせて、そんなの知ったこっちゃないとズンズン階段を下りていく桐乃。 手を引かれてる俺もそれについて行くほかない。 リビングへ行く途中、何度もあくびをかみ殺してたようだが、こいつ本当に大丈夫か? 「じゃあコーヒーよろしく」 「って俺が淹れるのかよ!?」 てっきり桐乃が淹れてくれると思ってた期待を返せ! どれだけ不味かろうと全部飲み干す覚悟をしてたってのに、全部無駄になっちまったじゃねえか! 「なによ?」 「・・・ちょっと待ってろ。すぐ淹れる」 「早くしてよね」 「へいへい」 ソファにすわって太ももに手を挟みもぞもぞしながら桐乃が言う。 あんまり待たすのも悪いな。ちゃっちゃと淹れるか。 キッチンに入ると電源の入ったままのポットを手に取る。 最近は俺がコーヒーを夜に良く飲むのを知っているのか、お袋はコレだけは用意しておいてくれ る。それならついでに夜食も用意してくれりゃいいのに。 なんてことを思ってても始まらないか。桐乃から文句が飛んでくる前に用意しちまわないとな。 コーヒーの粉を探して視線をめぐらすとあるものが目に入った。 これ、もしかして・・・・・・ 「桐乃、コーヒーできた・・・ぞ?」 自分と桐乃、二人分のコーヒーを入れて戻った俺が見たのはソファに横になり、静かに寝息をた てる桐乃の姿だった。 「はぁ、ったく。だからしらねえぞっていったのによ」 どうやら待ちきれずに寝てしまったらしい。 あの数分で眠っちまうとは、一体どれだけ眠いのを我慢してのやら。バカなやつだ。 「・・・こうして寝てれば、素直に可愛いって思えるんだけどな」 普段も憎まれ口さえなければ、と思うがそれが桐乃というのも確かだ。 いきなりしおらしくなられても気味が悪いことこの上ないだろうな。 でも、もう少し素直になってくれてもいいと思うんだよな。 コーヒーを探して見つけた、キッチンに置かれた少し歪な形をしたおにぎり。 それが誰によって作られたかなんて、考えるまでもない。 「そのまま渡してくれりゃ、お礼も言えるってのによ」 お前が寝てたら、言っても聞こえねえじゃねえか。ま、それでも・・・・・・ 「ありがとうな、桐乃」 さらさらとした髪に包まれた頭を撫でる。いくら指を通しても絡まらない髪が手に気持ちいい。 そうしていると、桐乃が寒そうに体をよじらせる。 「っと、このままじゃまずいか。桐乃が風邪引いちまうな。つっても、どうしたもんか・・・」 数瞬考えて、すぐに結論をだす。 「よいせっ、と」 桐乃の背中と膝の裏に手を回して持ち上げた。所謂お姫様抱っこである。 しかしこいつ軽いな。本当にちゃんと食ってんだろうか。モデルってのはこうもみんな軽いものなん だろうか。 桐乃を起こさないように慎重に階段を上る。幸いドアはしっかりと閉まってなかったのか、半開きの ままだったので、それを足で開けることで事なきをえた。 部屋まで運んだ桐乃をベッドに寝かせ、布団をしっかりかぶせてやる。 「おやすみ、桐乃」 最後に頭をもうひと撫でだけして、部屋を後にする。 がんばれ、という声が聞こえた気がしたのは、多分気のせいだろう。 「さて、と」 コーヒーとおにぎりを持って自分の部屋へと戻った俺は、「いただきます」と早速おにぎりにかぶりつく。 「・・・・・・しょっぱい」 どうやら塩の配分を間違えたらしい。妙に塩見の強いおにぎりだったが、それでも腹はしっかり膨 れた。ついでになにやら胸の辺りも一杯だ。やる気も漲ってくる。コレなら大丈夫だろう。 「さて、もうひと頑張りしますかね」 このおにぎりを作ってくれたあいつのためにもな。 おにぎりの乗っていた皿を机の隅に寄せ、コーヒーをお供にして俺は再び参考書へと向かっていった。 翌日、夜食の件に関してお礼を言うと 「あっそ」 と、そっけなく顔を逸らされてしまったが、そのかすかに見える耳が真っ赤に染まっているのを俺は見逃さなかった。 その後、日を追うごとに夜食がだんだん(主に味の面で)グレードアップしてくことになり、俺がその 夜食を楽しみにするようになるのは余談である。 ―おわりー ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/98.html
883 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/28(火) 21 01 10 ID HD6sbb2PP [6/7] 「ありがとうございましたー」 「俺宛に小包か…いつかの沙織の宅配テロを思い出すな。 もしかしてまた沙織か?出来れば簡便して欲しいんだが… 差出人は…「スレ住人より勇気を込めて!」って既に名前じゃねえ!? なんなんだよこれは……と、とりあえず部屋で開けるか」 「よし、開けるぞ……ん、なんだこりゃ?何か真空パックみたいになって丸まってる? んでこっちは、…ってうおおおぉぉぉぉおおおいいいい!!?? ちょ!?な、な、何で桐乃の絵が!?し、しかもこれは…(ゴクリ) …はっ!いかん、いかんですよ!?い、妹に興奮するとか変態じゃないか!? まずい、まずいぞ。こんなものが桐乃に見つかれば変態呼ばわりは免れない…… よし、これは見なかったことにしt」 「うるさいっての兄貴!!もっと静かにできない、の…」 「あ」 「…………」 「いえ、あのですね桐乃さん。これには深い訳が…」 「……んたぃ」 「は?」 「変態!!変態!変態!変態!こここここのシスコン!!あ、あんたなんてもんもってんのよ!? 抱き枕!?抱き枕なのそれ!?い、妹の描いてある抱き枕使うとかあんたドンだけシスコンなの!? キモいキモいキモい!!っていうかあんたんたそれ使って何するつもりだったの!?」 「だああぁぁーー!落ち着け!とりあえず落ち着いてください!頼むから!」 「うっさい!ああー、もう!…なんなのよこれ…こんな写真なんて撮った覚えもないし し、しかもなんか服はだけてるし……」 「き、桐乃?」 「っていうか、こんなの頼むぐらいならあたしに直接いいなさいよ。そうしたら…」 「お~い、桐乃?桐乃さん?」 「ひ、日頃の感謝って言うか?まあ、添い寝ぐらいなら一緒にしてあげてもゴニョゴニョ……」 「あん?何だって?」 「だから!そんな抱き枕使うぐらいならあたしを抱きなさいっての!」 「へ?」 「あ」 926 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/29(水) 00 14 55 ID qMFzVAYU0 [1/2] 883 「桐乃!」 「きゃっ! なっ…なによいきなり、マジな顔して…」 「女の子が『自分を抱け』なんて軽々しく言うんじゃねぇ! 本気で怒るぞ!?」 「え…な、なに言って…あ、あたしはその抱き枕の代わりに、添い寝くらいならって…」 「…え? そうなの?」 「う、うん… ………どういう意味だと思ってたの?」 「い、いや、それはだな…いきなり『抱け』なんて言うから、てっきりその…あっちの『抱け』…かと思っちまって…」 「…? ………っ!? あ、あんた…! なに考えてんのこの変態っ!!」 「だぁああ!? 俺が悪かった! 悪かったから物を投げるな! エロゲーばっかやってたせいか、つい!」 「ついじゃない! このバカ! バカ! バカっ!」 「で、でもな! こうやって勘違いされることもあるんだから、軽々しく使うのは絶対に禁止だからな!?」 「うっさいこのシスコン! どんだけ変態なんだっての!」 「あぁもう! どうせ俺はバカで変態でシスコンだよ! 妹道なんて呼ばれちゃうくらいだからな! でもな桐乃! だからこそ、お前が自分を大切にしないことは許さないからな!」 「っ!!!! キモッ…バカじゃないの」 「ほ、ほっとけ。どうせ俺はバカだよ…」 「あーそう、じゃあ勝手にすれば。変態シスコンには妹抱き枕がお似合いねー」 「うぐぐ…」 「―――あーさぶさぶ、今夜はマジで冷え込んでるな…湯冷めする前にさっさと寝ちまわないと。 あれ? 部屋の電気が…なんだよ、こんな時に切れちまったのか。まあもう寝るだけだし、換えるのは明日明日」 「しっかしこの抱き枕、結局ベッドの上に出しっ放しにしちまったが、どうしたもんか… さすがに使うのは危険すぎるんだが、今夜はマジで寒いんだよな。これ抱いて寝れば、随分と温かく… よし、背に腹は変えられねぇ。桐乃、悪いけど使わせて貰うぞー」 「………」 「…さすがに壁越しじゃ聞こえないか。ま、聞こえても困るんだけどな…よっこいしょっと。 …? あれ? この抱き枕、なんか凹凸が…? 暗くてよくわかんねーが、確か見た感じ真っ直ぐだったよな… 中のスポンジが変形してんのか…?」 「………っ」 「ん? 温かい? 発熱素材でも入ってんのか? てかやけに密度が―――」 「ちょっ!? どっ、どこ触ってんのよ!?」 「………へっ?」 「だっ、だからっ! 手! 手!」 「枕がしゃべった!?」 「違うっ! あたしだっての! と、とにかく体まさぐるのやめろっつってんでしょうが!」 「どぅぉわ!? き、ききき桐乃!? お、おま!? なっ、なにやって…!?」 「ふん…昼に言ったでしょ。そ、添い寝くらいなら、し、してあげても、いいって…」 「え… おまえ、あれマジだったの!?」 「ま、まあね。一応あんたにも色々して貰ってるし、こ、これくらいならしてあげてもいいかなって」 「い…いやでもな? 冷静に考えたら、いや考えなくてもヤバいだろそれは!? い、いくら兄妹ったって…」 「ハァ? あたしは添い寝してあげるって言ってるだけなんですケド。それがどう問題あんの? もしかしてあんた、妹に欲情しちゃっておっ…襲っちゃうとでも言うワケ?」 「しねェーっつったろそれは! 大事なモンを自分でぶっ壊してたまるか!」 「!!!! …キモッ! 今の超キモい!!」 「ま、前にもこんなやり取りした記憶があるんだが…今回も泣きそうだよ俺は…」 「う、うっさいなぁ…襲ったりしないんなら、別に問題ないでしょ」 「そりゃ襲ったりはしないけどな? 兄妹とは言え、年頃の女の子が男と一緒に寝るのは色々とまずくね?」 「妹ペロペロしたり食べたりしたあんたに言う資格はないけどね」 「黒歴史きた!? 歴史の暗部を掘り返すのはマジやめて!?」 「あんだけやっといて、今更添い寝くらいで何言ってんの。てか、寒いんですケド?」 「あ、ああ、確かに今夜は冷え込んでるからな…俺も体が冷えてきちまった」 「ほら、さっさとしてよ。このままじゃ風邪引いちゃうじゃん。それとも何? この寒い中妹を蹴り出すっての?」 「わ、わかった…じゃあほら、横になるぞ?」 「う、うん…」 927 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2010/12/29(水) 00 15 53 ID qMFzVAYU0 [2/2] 「………」 「………」 「あ、あの…さ…」 「なっ、なんだ…?」 「その…さ、寒いんだけど?」 「そ、そうだな…」 「『そうだな』じゃなくてさ、そんな離れてたら、全然温かくならないんですケド?」 「そっ、そうだな…?」 「あのさ…あたし言ったよね、抱き枕の代わりに添い寝してあげるって。これじゃ全然意味ないじゃん!」 「い、いや、確かにそうかもしれないけどな…?」 「ああもう…っ なんであんたは何時も何時も…っ そうやって肝心なとこでへたれるワケ? いいからさっさとあたしを抱きなさいよ!」 「こっ、こらっ!? 軽々しく言うなつったろ!」 「うっさい…っ ほら…あたしの手、もうこんなに冷たくなってるんだよ? はやくなんとかしなさいよ…っ」 「っ! く…ええぃ…っ!」 「あ…っ!」 「………」 「………」 「き、桐乃?」 「な、なに?」 「お、おまえってその…や、やわらかいな?」 「!!!!!!! なっ、ななっ、なに言ってんのよっ!?」 「す、すまん…! つい混乱して…!」 「あ、あんたね…妹にセクハラとか、マジでキモイんだけど」 「すまん…俺が悪かったって…」 「ま、まぁ、許してあげてもいいケド…どうしよっかなー ………よし、こうする」 「ちょ…おま…っ く、くっつきすぎだろ…っ!」 「し、仕方ないでしょ、寒いんだから。あんたがちゃんとくっつかないのがいけないんでしょ…っ! もっとしっかり抱きしめなさいよ…っ!」 「こ、こうか…?」 「あ…ん………そ、そう、そんな感じ………だ、抱き枕なんだから、しっかり抱かなきゃダメでしょ…」 「ああ…そ、そうだな…」 「あんた、さっきから『そうだな』ばっかじゃん。もっと自分から動いてよね」 「す、すまん…」 「べ、別に責めてるわけじゃないし。一々謝らなくていいから」 「お、おお…でも、桐乃」 「なに?」 「その…ありがとう…な。おまえのお陰で、凄い温かいよ…」 「っ!!!! あ…あっそ。ま、まあ、あたしも寒かったし? ちょうど良かったって言うか…」 「そ、そうか…でも、ありがとうな、本当に」 「ふ、ふんっ、いいからさっさと寝なさいよ…っ」 「そうだな…おまえが温めてくれたお陰で、ぐっすり眠れそうだよ」 「っ! な、なに言ってんだか。あーキモいキモい」 「はは…じゃ、おやすみ、桐乃」 「ん…おやすみ」 「……ねぇ」 「………」 「………寝てる、か… ふん、こっちの気も知らないで……… なにが『軽々しく言うな』よ。他の誰かに言うとでも思ってんの? バカ………」 -------------
https://w.atwiki.jp/tunderesure/pages/317.html
スイーツ&ファンタジーツンデレ 作者 7スレ333氏 「ルイーズ。お茶」 「自分でいれろ。」 「何で俺が。」 「……逆に聞きたいくらいだ。」 「えー。何を?」 「いいか、リカルド。私がお前の家に来ているのであって、私が客なんだ。 私は客。主人はお前。お前だ。いいな? だから何故私がお前なんぞに、お茶を出してやらなくていけない?」 だらしくソファへ寝転がったまま動かないでいる男。 その旧友を赤味の強い瞳で睨みつける銀髪の女。 女は落ち着いた物腰をしていた。 滅多なことでは表情を崩さず、勿論この状況にも怒鳴ることはしなかった。 冷静に順序立て説明をすることで、愚かな男に分からせてやろうとする。 いつもの事だが、その落ち着き払いすぎている姿は何処か不可思議だ。 見た目の年齢は20歳そこそこだが歳不相応な空気を纏っていた。 同性でさえ見惚れる美貌を持っているというのに、冷厳な態度を崩さないせいで、誰も寄せ付けなかったが 「だってー」 男はびくともせず視線だけを女に向けて言う。 「俺がいれるより、ルイーズがいれてくれたほうが美味いんだもん。」 氷の様な眼差しで射られようと、男にとっては慣れっこな事であり動じることなど一つも無い。 駄々を捏ねてた後いつも通りニカリと笑う。 確信的に笑う。 「お前は子供か……」 「ガキでいいから、ね?おねがい。」 太陽のようにまぶしい笑顔を向けられたルイーズは、尚一層不機嫌そうに眉根を寄せる。 「……。」 先日、男の家に日本人の友人が訪ねて来た際、美味い茶葉を二人は譲り受けていた。 ホットの湯でいれるんだよ、と友人の嬉しそうな笑顔が忘れられない。 リカルドもルイーズも、日本産の「ぎょくろ」というのは口にした事が無かったからだ。 自分が二人に美味い物を紹介出来たのが嬉しかったのだろう。 友人はこの茶専用の独特のポットまで置いていってくれたのだ。 はじめ二人はどうして良いのか解らず、子供のようにただじっとその茶を並んで覗き込んでいた。 そして冷めきった頃にようやく作り終え、やっとリカルドがはじめの一口を。 「ルイーズ!美味い!美味いぞコレ!」 「うるさいぞ……だいたい紅茶葉と同じなのだから、味は大して変わらないだろう。」 言った言葉に反して興味があったらしい彼女も、キラキラとした瞳でいるリカルドの手にしたゆのみを見つめていた。 彼が「ほれ、飲んでみ」と手渡すと大切そうに受けとめる。 そして彼女もまた一口。 「……っぁ、」 大して感想を言わなかったが「少し残してくれよ。」と言う彼の言葉を無視して全て喉に通してしまった。 それからすっかり二人はお茶の虜なのである。 ルイーズが茶の準備をし終え階段をゆっくりと昇っている。 ついでに貰ったボンと言うらしい大きな皿(だと二人は思っている)に二つの湯飲みも乗せながら。 「っく、カップに比べ、ゆのみとやらは……」 縦に長いのだ。 慣れない手つきで不安定さゆえ、グラグラとさせながら階段を一歩一歩登る。 肩までついた髪が邪魔だった。結っておけば良かったと今更後悔しながら 「だから、何で私がこんなことを……!」 盛大に舌打ちをした。 「待ってました。って、あれ?」 「……」 「いい匂いがするけど、それクッキー?」 「……洗い物はお前だぞ。」 「わかってるよ。つうか、このチョコチップはわざわざ焼いてきてくれたんだ。」 「そうじゃない。出掛けになって時間が中途半端に余っていたから。」 「この間のベリィパイも旨かったけど、今回のも旨そー」 「別に、ぎょくろには合わないのだから、後ででもいいし、無理にとは……」 ぽそぽそと尻つぼみになっていく言葉を聞いたリカルドは、子供の様に無邪気に笑う。 先程までの無気力はどこへやら、ソファから勢いをつけて起き上がると 床に置かれたボンの上をワクワクとして見つめだした。 乗せられたクッキーと、茶葉と、白い華奢な手を代わる代わる見ている。 「……やり辛い。」 真剣な眼差しをしたルイーズがで二つの湯飲みにこぽこぽと茶を注ぐ。 「気にすんなって。後蒸らすだけだろ。」 「……お前が見てるだけで、お茶が不味くなる。」 「そりゃすげぇな。」 「もういいから黙っていろ。」 そう言って、きっかり教えられた通りに腕時計で計っている辺りが彼女らしいなぁとリカルドはまた笑う。 「よし。」 「ok!じゃあ」 さぁ頂くかとなったその瞬間、二人きりのこの家の中にけたたましいベルの音が響き渡った。 「えー……誰だよ、これからって時に」 「向こうはこちらの都合を知らないのだから、文句を言ってないでさっさと行け。」 「はいはい。分かったよ。あ!先に飲むなよ!?」 そう釘を指して階段を降りたリカルドの足は少し急ぎ気味だ。 ドタドタと派手な音を立てたのを最後に、シンっと部屋の中が沈黙で満たされる。 「さて……」 「冷めないうちに頂くか。」 彼が帰ってくるのを待ちきれないわけではない。 そうではなく、何故待ってやらなくてはいけない。という思いが先にたった。 茶は自分でいれてきたわけだし、何より素直に待ってやるのが癪に障った。 そしてあの、太陽のような笑顔が腹立たせた。いつもの事だが…… 「別に……」 何やら独り言をもらしつつ、自分の近くに置いてある同じ柄の湯飲みのうちの一つを手に取り、持ち上げた。 鼻腔をくすぐる茶の良い香り。 口をつける前に唇を細めて息を吹きかけた。 「ふぅ……ふぅ……ん?」 湯飲みの中を覗き、ピタリと動きを止める。 そして一瞬表情を変えた。 手にした湯飲みをもう一度降ろし、玄関先でまごついている彼の湯飲みとそっと入れ替え、置いた。 「おかえり。」 「明日町でバザーをするらしいから覗きに来てくれって連絡だった。」 「誰から?」 「市長から。」 「市長がわざわざ?」 「チャリティーらしいからなぁ。次の選挙活動絡みだろ?街中全部には回らないが、目ぼしい奴んとこだけ回ってんだよ。 嫌だねぇー建前だらけの『人間』とやらは。キライだよ。」 「我慢するかいい加減慣れろ。もう何年こっちにいるんだお前は……」 「だってさぁー」 「どうでもいい。そんな事を言っている内に冷める。」 「あ……」 湯飲みの中の茶は減っていない。わざわざ温めたらしいクッキーも、冷めてしまっていて手が付けられていない。 待っていろと冗談で言ったのだが 「悪い。」 待たせてしまっていたのだろうか。 そう思い彼らしからぬ真面目な態度で謝罪するが、彼女は鼻で笑っただけだった。 「突っ立っているなら先にいただく。」 「あー何だよ!んじゃ俺もいただきます!」 床に急いで腰を降ろし、リカルドも一つ湯飲みを持ち上げた。 まだ熱いその陶器。両手に抱えた瞬間、湯飲みの中の物に気がついた。 浮かんでいる、葉とは異物のその物体。 「なぁ!おい、見てくれ。」 「どうした?」 意気揚々と湯飲みから口を離し、ルイーズに小さく手招きをした。 屈託無く笑う彼が差し出した湯飲み。 その中に浮かぶ、小さな小さな―― 「茶柱ってのが立ってるぜ。あいつ言ってたよな? これが立つ茶はすげぇ縁起がいいって。じゃあ、きっと何かいい事が起こるよな。」 太陽のようにポカポカと微笑む男。 赤い眼は直ぐに視線を逸らしてお茶をすすり直す。 「運を使い切ったな。明日死ぬぞ。」 「えぇー!!」 茶は上品な音を立てて喉を下っていく。 湯のみで隠れてしまっている口角の端が緩やかに上がっているのを、彼女自身まだ気がつかない。
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1016.html
846 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/08/12(金) 05 41 13.92 ID Hx1+g0+m0 [2/3] SS『加奈子の禁煙生活~桐乃の嫌煙~』 今日もマジつかれたぁー つぅかぁ?ガッコーの授業ってマジつまんなくね? どいつもこいつもぉ、加奈子の知らねー言葉ばっか使いやがってよぉ? すーがくの『そうじ』ってあんだよ!?教室をそうじすんのかよ!? ・・・あー、マジだりー・・・ 今は学校からちょっと離れた公園だしよ?こんくらい、いいよなぁ? ポケットから小さな箱を取り出す。 中から一本取り出して、口の中に――― 「加奈子っ!!!」 「わっ!?・・・あんだよ、桐乃じゃねーか?」 まったく、驚かせんなよなー。あやせのヤツかとおもったじゃねーかよ。 それにしても、なんでそんな怒った顔してんだよ? 「加奈子。タバコはダメって言われたでしょ!?」 「タ、タバコじゃねーぜぇ?」 「ホント?じゃあ、今、手に持ってるの見せてくれる?」 「いーけどよぉ、べつにぃ?」 桐乃に一本手渡してやる。 つーか、そんな持ち方だとよぉ 「うわっ、何これ・・・溶けて・・・チョコ?」 「シガレットチョコだっつーの! つぅかぁ、あやせから聞いてんだろぉ?加奈子が禁煙成功したってよぉ?」 「う、うん。そ、そうだったんだけど、わざわざ公園に入って、細長い棒を取り出すんだもん」 桐乃のヤツも心配性すぎるぜぇ。 言っとくけど、アレ以来、一度も吸ってねーかんな? 「そ、それにさっ?加奈子、なんかコソコソしてたじゃん? 何か悪いことしてるのかなって、不安になったんだもん」 「あーーー。これって買い食いじゃねーか」 「そう、なるのかな?」 「桐乃はあんま気にしねーけどよぉ、あやせのヤツに見つかったら、こんなことまで文句いわれんだぜぇ?」 「そうなんだ、さすがにちょっと大変だよね?」 ほんと、その通りだぜぇ? あやせのヤツ、加奈子のぉ『生活習慣がわるいー』だの、 『ピシッとした態度をするっ!』だのぉ・・・てめーは加奈子のお袋かってんだよぉ 「とにかくっ、本当に、絶対に吸ってないんだよね?」 「そうだってば。ったくよぉ・・・加奈子も信用ねぇよなぁ?」 「ゴ、ゴメンね?でも、あやせにも、加奈子がちゃんとしてるか調べて、 もしちゃんとしてなかったら報告してって言われてるから」 「いや、そいつはマジ勘弁・・・」 あやせのヤツぅ、いくらなんでもひどくねェ? 加奈子だって人間だっつーの! ぷらいばしー?・・・だってあんじゃねーかっ! 「良かった、とりあえずちゃんとしてるみたいで。 でも、加奈子もほんと、気をつけてね? 事務所に所属してると大人の人に混じるから、 つい、大人の人に憧れて、マネをしちゃう子も多いからね?」 「へいへい、わかってるっつーの! 加奈子ぉ、あやせのヤツよりはしっかりしてるしぃ」 「そ、そう・・・かな?」 そうに決まってんじゃん? 加奈子ぉ、あやせみてーに突然キレたりしねーしぃ? ・・・ってか、そういやぁ 「そういやさぁ、桐乃ってばタバコとか吸いたいとおもったコトねーのかよぉ?」 「ないよ?」 瞬殺かよぉ? いつもみてーな自爆もねーし、本当に全く吸いたいとか思ってねーんだよなぁ・・・ 「やっぱぁ、桐乃やあやせが普通で、加奈子がおかしいってかぁ?やってらんねーぜぇ」 「そ、そうじゃないって。あ、あたしはタバコとか、絶対に好きにならない理由もあるし」 理由って、タバコが嫌いな理由なんてあるのかよ? なんかおもしれー。聞いてみっかぁ。 「へぇー?どんな理由だってばよぉ?」 「えっ!?そっ、それはっ!?」 「それはぁ?」 ぷくく・・・マジおっかしーっ! なんでこんなんで焦ってんだよ、桐乃のヤツぅ。 「た、タバコ吸ってると、お腹の中の・・・あ、赤ちゃんが、 死んじゃったり、奇形になったりするんだよ!」 「・・・・・・・・・」 「・・・・・・・・・」 い、いま、なんつった?コイツ? お、お腹の中の赤ちゃん? 「き、桐乃ぉ?い、いま、妊娠・・・してんのかよぉ?」 「そ、そんなわけないって!まだ妊娠なんかしてないって!」 い、いつもの自爆・・・きやがったぜぇ? 『まだ』・・・だよなぁ? 彼氏彼女とか、付き合うとかってレベルじゃねーぜぇ!? 「桐乃ってば、赤ちゃんが欲しいのかよぉ?」 「っ!!!」 「ま、マジかよぉ?」 「ちっ、違うって!ま、まだ兄貴の赤ちゃん育てられないって!」 「あ、兄貴の子供ぉ?」 「だからっ!まだ兄貴と結婚もしてないしっ!」 ・・・・・・うへぇ 「とにかく、あたしはタバコとか興味ないからっ!」 「わ、わかったっての」 「そ、それじゃ、加奈子。こっ、これからもちゃんと禁煙、がんばって、つ、続けてねっ」 それで誤魔化したつもりかよぉ? 話を打ち切りてーの、バレバレじゃねーかよぉ。 ま、まァ、これ以上つっつくと、やヴぁいモン出てきそうだしなぁ・・・ 「うぃっす・・・テキトーにがんばるわぁ」 「じゃ、じゃあ、あたしっ、帰るからっ!」 「んじゃ、またなー」 「うん、ま、またね」 で、桐乃のヤツは帰っちまったけどよぉ・・・ 最愛の兄貴の元へってかぁ?・・・・・・うへぇ それにしたってよぉ・・・ 桐乃のヤツ、前々から加奈子たちの前で兄貴のことばっか話してたけどよぉ? まっさかぁ、『兄貴の子供欲しい』だぁ? ブラコンってレベルじゃねーしぃ・・・ でも、いいネタできたぜぇ? 桐乃と兄貴のラブラブ新婚生活ってかぁ? くひひっ。ぜってーSSにしてやんからなー! 「加奈子?何が『桐乃と兄貴のラブラブ新婚生活』なのかな?」 「ひっ!?」 あ、あ、あ、あやせぇぇぇ!? なっ、なんでここにいんだよぉ? 「ねぇ、加奈子。お話。聞かせて?桐乃とお兄さんがどうしたのかな♪」 「はっ、話すからっ」 だ、だからその包丁っ! 「きっ、桐乃がっ、兄貴のっ、こっ、子供っ、ほ、ほしっ―――」 「うん、わかった。そんなに震えなくて大丈夫だよ、加奈子。 教えてくれてありがとうね♪」 ごっ、ごえ゛え゛よ゛ぉ・・・ 「それじゃあ、わたしはお兄さんと、『お話』してくるからね?」 「わ、わがっだ・・・」 ・・・桐乃ぉ? 兄婚への道には、恐ろしい障害が待ち受けていそうだぜぇ? 「それと、加奈子?」 「な、なんだよ」 「もし、約束、守れてなかったら、加奈子とも『お話』するからね♪」 「う、うぃ・・・」 「返事は?」 「はっ、はいっ!」 見ろよぉ、これがいつも清楚ぶってる、あやせのヤツの本性だぜぇ? てめーらも、こいつみてーな変な女にはひっかかんじゃねーぞぉ? おかげで加奈子も、もう、ぜってータバコ吸えねぇよなぁ・・・ まっ、桐乃とも約束してるしよぉ、 最近は、桐乃と兄貴のカンケーってやつを想像してるだけでたのしーからぁ もう、タバコが無くたってダイジョーブかなって気もすんだよな! End. ※タバコをネタにしたので念のため。 タバコは20歳から。喫煙は心筋梗塞、肺・口腔・喉頭・食道・胃がん、脳卒中、肺気腫、動脈硬化、糖尿病、脳梗塞、 歯周病、慢性気管支炎、高血圧、狭心症、免疫機能低下etcを非喫煙者の数倍~数十倍引き起こしやすくなります。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1538.html
449 :名無しさん@お腹いっぱい。:2012/08/02(木) 00 32 55.78 ID 56Ql+DYA0 【SS】高坂桐乃の葛藤 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」 気がついたら、シェークスピアの『ハムレット』の一節を口にしていた。 "To be or not to be; that is the question" 直訳すると『するべきか、せざるべきか。それこそが問題だ』なのに、なんでこんな大げさな訳にしたんだろう。 この言葉だけは知っていて、けれど原作は知らずに初めて原文を見たときにはそう思ったけど、今だと理解できる。 こんな言葉を口にしてしまう時、その人は運命の岐路に立たされているんだろう。 人としての生死ではなくて、自己としての生死。アイデンティティの生死。将来を切り捨ててでも行う価値があるものか。 俗に言う”Point of no return”。 そう、踏み出したら二度と元には戻れない。 そんな時に発する言葉なら、確かにこの訳は正しい。 「ふぅ」 ため息を一つつき、現状を見つめる。 アメリカから帰った後、ずっと目をそらし続けてきた。 でも、そろそろ現実と向き合わなきゃいけない。 そうしないと、あたしは前に進めないのだから。 今日、あたしはこの難問との決着をつける。 正座して見つめる先には、プラスチック製の袋で密封された、丁寧にたたまれている布。 ジップロックされた兄貴のパンツ。 略して兄パン。 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」 さて、状況を説明しようと思う。 あたし―高坂桐乃は文武両道、才色兼備、容姿端麗、頭脳明晰の読者モデルで、売れっ子小説家、陸上でも記録を残してる完璧超人だ。 人にはいえない趣味なんかもあるケド、それはこの一年と数ヶ月で理解してくれる人が出来て周りの環境も改善されたおかげで、ストレスもなく楽しんでいられる。 まぁ、こうなれたのもあいつのおかげなんだけどね。 そんなあたしだけど、何でも出来るわけじゃない。 アメリカの留学で、それを改めて思い知らされた。 頑張ってもダメで、泣いてもダメで、それでもあきらめられなくて、本当に大切なものも分からなくなっちゃって、 最後の最後、捨てちゃいけないものを捨てる前に、あたしが壊れちゃう一歩手前であたしを助けてくれたのが兄貴―京介だった。 京介は大嫌いなあたしのために、メール一つでアメリカまで来てくれて、 「一緒に帰ろうぜ」 「おまえがいないと寂しいんだよ!」 「俺はおまえがいないと寂しくてイヤだから、連れ戻しに来た!それだけだ!文句あっか!」 「・・・・・・一緒に帰ろうぜ。じゃないと俺、死ぬかもしれない」 そんな素敵な言葉をくれた。 すごく嬉しかった。 頭がどうにかなるんじゃないかと思うくらい嬉しかった。 今でもまだ心の整理はついていないし、時々アメリカの事は夢に見るし、帰ってきたことを後悔しちゃう事もあるけど、 それは京介のせいなんかじゃないし、絶対に京介を怨んだりはしない。 むしろ、あの時の事を思い出す度に、 大人になっても忘れてなんかやらない。 きっと、いつか、絶対にお返ししてやるんだから。 そう誓った。 アメリカから帰る直前の、悲しくて、悔しくて、切なくて、嬉しくて、素敵な思い出。 それだけなら問題はなかったんだけど・・・・・・ 問題が発生したのは日本に帰る二日前だった。 京介はほとんど着の身着のままアメリカに来た。 一応代えの服も用意してたんだけど尽きてしまって、仕方ないからコインランドリーで洗濯する事になったんだ。 あたしも一緒に洗濯する事にしたんだけど、手持ちのクォーターは二枚しかなかったので、二人一緒に洗濯する事になった。 クラスメートには親兄弟と一緒に洗濯するのは耐えられないって子もいるけど、あたしはそんなに気にしてない。 あたしのために苦労してる兄貴との洗濯を嫌がるのも可哀想だし。 ・・・・・・まぁいつもはお母さんが洗濯してくれてるし、少しは意識しちゃったけどね。 それで洗濯して、乾燥させて、部屋で二人の服を分けたんだけど・・・・・・ 日本に帰ったら兄パンがあたしの服にまぎれていた。 あたしは京介に返すのも恥ずかしく、勝手に捨ててしまうのなんて論外だし、されど部屋にそのままの状態で置いておく事もできないので、 随分悩んだ挙句、そのままジップロックの中に封印して、押し入れの奥にあるアルバムの下に隠したんだけど、 そろそろこの兄パンをどうするか決めないといけない。 奇しくも今日は8月2日。 いわゆるパンツの日。 進退を決めるにはもってこいの日だろう。 「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」 もう一度呟いてみる。 兄パンを返すべきか、返さざるべきか。それが問題だ。 あの時は問題を先送りして、そのまま忘れ去ってしまおうとした。 でも、それじゃいけない。 前は恥ずかしいからという理由で京介に返すのを拒んだけど、今ならそれが本心じゃない事がわかる。 アメリカから帰るとき、お父さんやお母さん、あやせや黒猫といった友人たちにはお土産を買ったけど、自分の分は買わなかった。 アメリカから持ち帰ったものは日用雑貨等の身の回りのもの以外に無い。 あれが長めの旅行だと思いたくなくて、あの生活を忘れたくなくて、そういう気分になってしまうものは持ち帰らなかった。 ただ一つ、あのアメリカを、あの悲しさを、悔しさを、切なさを、そして嬉しさを思い出させてくれる記念品。 それがこの兄パンなんだ。 しかも、タイミングからして間違いなく、あの日あの時履いていた下着だ。 今でも、あの日を思い出すだけで、この兄パンを見つめるだけで、あの時感じた胸を締め付けるような想いが、心の温かさが蘇ってくる。 京介に返すのは簡単だ。もう何度も京介の部屋には忍び込んでいる。 あいつの下着がどこにしまってあるのか知ってるし、あいつのお宝本がどこにあるのかも知ってる。 まだ忍び込む事には罪悪感はあるけど、京介に気づかれずに兄パンを返す事は十分に可能だ。 あいつの事だから、下着が一つ帰ってきていてもまったく気がつかないと思う。 でも、これを京介に返すのは、京介にあのメールを送った時の様に、あたしの想いを否定するのと同じ。 だから― 「よし!この兄パンはあたしが持っとく!」 決めた。京介のものを無断で借りることに罪悪感はあるけど、この兄パンは京介には返さない。 いつかあたしがあのアメリカの思い出を超える事ができたら、その時は胸を張って返しに行こう。 それまでこの兄パンは、あの日の京介のように、きっとあたしを何度も勇気付けてくれるだろう。 でも、まだ次の問題がある。 「どこに隠すのかと、このままジップロックに入れ続けるのかを考えないと・・・・・・」 この兄パンはとても危険なものだ。 ある意味オタクグッズやエロゲよりも危険なものだ。 京介はオタクのあたしを認めてくれたけど、さすがに兄パンを大事に保管するあたしを認めてはくれないだろう。 見て見ぬフリをされるだけならまだしも、はっきりと拒絶されるのだけは耐えられない。 あいつのせいでこんな気持ちになっちゃったのに、あいつにそれを否定されたくない。 もしかしてあいつなら、こんなあたしでも受け止めてくれて、それどころか一歩踏み入れてきてくれるかもしれない―そんな想いもある。 でも、今までずっと迷惑をかけちゃってるのに、そこまで期待しちゃいけない。 これは、あたしだけが責任を持って保管する。 だれにも―あやせや黒猫にも見せてあげない。触らせてあげない。嗅がせてあげない。 だから、絶対に見つからないところに隠さないと・・・・・・ そしてもう一つの問題。 兄パンのケアをどうするか。 普段ジップロックして保管するのはいいんだけど、時には干したりしないと痛んじゃう。 あくまでこの兄パンは借りてるだけなんだから、ちゃんといつでも返せるように丁寧に扱わないと。 もちろん、しまったまま放っておくなんて論外だ。 定期的に虫食いがないか確認したり、汚れたりしてないか確認したり、糸がほつれたりしてないか確認しなくちゃいけない。 大切な京介の下着なんだから、手入れをするのはイヤじゃないし、ちゃんと面倒を見たい。 でも― 「ずっと密閉してたから、匂いがこもってないかな?」 別に汗をかいた後洗濯もせずに密閉したっていうわけじゃなくて、ちゃんと洗濯した後のものだから問題ないとは思うんだけど、 たしかこの兄パンは結構長い間京介が愛用してたヤツだし、もしかしたら匂いが染み付いちゃってるかもしれない。 少しぐらい臭いだけなら問題ない。消臭すればいいし、それも含めて兄パンなんだから、ちゃんと大事にしていきたい。 でも― 「黒猫の漫画みたいにしちゃったりしないよね・・・・・・」 『ベルフェゴールの呪縛』はフィクションだ。嘘っぱちだ。今まで京介の下着の匂いを嗅いだ事は一度もない。 あれは、沙織が例のオタクファッションなのに香水をつけていることに気がついたあたしが、 「そういえばあいつっていい匂いがするよね。 気分が落ち着いて、いつまでも嗅いでいたくなる感じの。 なんでだろう」 とつい言っちゃったのが原点だ。 ・・・・・・べつに、京介の匂いを嗅ぎたくて嗅いだことはないよ? でも一緒にゲームをしてる時とかに、隣からいい匂いがしてくると、ついつい嗅いじゃうよね。 それと同じように、もしジップロックを開けたとたん京介のあの匂いが漂ってきたら。 いつも嗅いでるあの匂いよりも濃い匂いだったとしたら。 あたしがいつもチェックしてる、兄妹小説のメインヒロインである妹ちゃん専用スレで出没する『くんかたん』みたいに夢中になっちゃうかも・・・・・・ 「そ、そんなことあるはずないじゃん!」 変な妄想をしちゃった。 あたしが黒猫の漫画の通りに兄パンの匂いに取り憑かれるはずなんてない。 あたしが『くんかたん』みたいに兄パンをコレクションするようになんてならない。 あたしは高坂桐乃だ。 才能がなくても、京介に無視され続けても、ずっと意思と意地で頑張り続けてきた女だ。 そんな誘惑に負けるはずがない。 確かに意思だけじゃ、想いだけじゃダメな事があるのは知ってる。 ずっと昔から身に染みてわかってる。 でも、これはそうじゃないはずだ。 意識と理性をちゃんと保てば何の問題もない! 「うん。何も問題ないよね」 あたしは負けない。負けるはずがない。 だからもし負けたとしたら、それはどうしようもない事なんだ。 もしあたしが負けてダメになっちゃっても、きっとあの時みたいに京介が助けてくれるよね。 だから気負わないで。リラックスして。心の命じるままに対応しよう。 あたしは覚悟を決めると、兄パンの入ったジップロックの袋をゆっくりと顔に近づけ― 「ダメじゃん!全然ダメじゃん!!」 ―思い切り床に叩きつけた。 危なかった。『また』兄パンの誘惑に負けるところだった。 もしあのままジップロックを開けていたら、間違いなく兄パンの匂いを嗅いじゃってた。 この兄パンの魅力はすごい。今のあたしにとって、ベルフェゴール=まなちゃん以上の強敵だ。 これで0勝0敗3分。また兄パンの誘惑に勝ち生きることも、誘惑に負けて死ぬ事もなかった。 「やっぱり、考え直したほうがいいのかな・・・・・・」 あたしには兄パンの手入れをすることはできないのかもしれない。 もしそうなら、このまま大切な兄貴の下着が汚れ朽ちていくのをただ黙って見過ごすくらいなら、いっそ京介に返してしまおうか。 でも、この兄パンは大切な思い出の品だし― 「桐乃」 さっきあたしは、ダメになってもきっと京介が助けてくれるって考えちゃった。 もうこれからはそういう考えをしないための兄パンなんだから― 「おい桐乃」 いっそ破いて捨ててしまおうか。 いや、ダメだ。これは京介からの大切な預かり物。あたしがそんな事をしたって知ったら、きっと京介が悲しんじゃう。 そもそもあたしにこの子を破く事なんて― 「お~い桐乃」 もう楽になろうか。 万が一にもないとは思うけど、あたしの中にあるのかもしれない、『京介の下着を嗅いでみたい』って欲求を満たしちゃおうか。 もしかしたらそんなに大した事ないかもしれない。 そうだよね。あたしは『くんかたん』じゃないし、黒猫の漫画はフィクションだから、あんな事にはならないよね。 それにあたしは思春期の女の子なんだから、ちょっとくらい男の人の下着とか匂いとかに興味持っちゃってもいいよね! それじゃあ― 「桐乃!」 「うっさい!あんたは黙ってて!」 何度もあたしを呼ぶ声に、反射的に怒鳴り返した。 まったく、あたしは今真剣に悩んでるんだから話しかけないで、よ、ね― あたしが後ろを振り向くと ―生きるべきか― そこには京介が立っていた。 ―死ぬべきか― 頭が一瞬で真っ白になる。 なんで京介がここにいるの? ノックの音しなかったじゃん。 「なあ、桐乃」 京介は何時になく真面目な顔であたしを見る。 京介が口にするのは、糾弾の言葉か、それとも救済の言葉か。 「おまえ―」 そして―審判が下される― 「俺のパンツ食うの?」 「んなわけあるかぁ!」 審判が下された。京介に。 結論から言うと、あたしの面目は保たれた。 「で、一体何があったんだ?」 京介が後頭部を撫でながら上体を起こす。 「本当に覚えてないの?」 太ももから重さが失われることに寂しさを感じつつも、京介にそれを悟らせないようにと気をつけながら聞いた。 「ああ、桐乃の部屋をノックしたところまでは覚えてるんだがな。 確か返事が無いし、鍵もかかってなかったからそのまま入ろうとして・・・・・・」 「足元に転がってた袋に足を取られて転んで頭を打っちゃったと」 「・・・・・・そうらしいな」 京介が怪訝そうな顔で首肯する。 どうやら京介があの時部屋にいたのは、あたしが考えに没頭して京介の声に気がつかず、返事をしなかったため、京介が心配して部屋に入ってきたかららしい。 食べるのかと聞いてきたのは、お母さんがおかずを冷凍する時のように、ジップロックされていたからだろうか。 それで、驚いたあたしが手に持ったジップロック兄パンを京介に投げつけたところ、びっくりした京介が足を滑らせ転倒、頭を打ってしまったと。 目を回してるだけだったからとりあえず寝かしといたんだけど、京介はそれからすぐに目が覚めた。 ただ、あたしの部屋に入る少し前からの記憶が無いみたい。 ・・・・・・良かった、京介が記憶を失ってて。 もう少しであたしの決断に関係なく、あたしが死んでしまうところだった。 「それで、京介は何であたしの部屋に来たの?」 変な事を思い出されてもイヤなので、早く用事を済ませて帰ってもらおう。 とりあえずクッションの下に隠した兄パンもどうにかしたいし。 「その事なんだが・・・・・・桐乃に伝えておかなきゃいけないことがあるんだ」 京介がまじめな顔をしてあたしを見てくる。 「伝えておかなきゃいけないこと?」 「ああ。 アメリカから帰った時に言いそびれてずっとそのままだったんだけどよ、どうしても言う勇気が持てなかったんだ。 でも、今日やっと決心がついた」 言う勇気がもてなかった。 も、もしかして・・・・・・! 「それって、大切なことなの?」 「とても大事なことだ。 でも、今までどうしていいかわからず、ずっと持て余していたんだ。 けどな、もう目を背け続けることなんか出来ない。 このまま放っておく事なんか出来ないんだ」 京介の瞳に、覚悟の光が宿っていることがわかる。 ここまで強く、決意の篭った輝きを持つ瞳を見るのは、いつ以来だろうか。 ・・・・・・きっと、あのアメリカでの一件以来だ。 きっと、それだけ大事なことなんだろう。 本当に、生きるか、死ぬかの。 「・・・・・・わかった。 聞かせて」 体が、緊張で硬くなるのがわかる。 心臓は早鐘を打ち、顔も赤くなっていることだろう。 「・・・・・・その、な」 ごくりと、京介の喉が鳴る。 「実は―」 「アメリカから帰った時、俺の鞄にお前のパンツが紛れ込んでいたんだ。 なあ、どうすればいいと思う?」 「あたしに返せぇぇえええええ!!!」 おずおずと紙袋を差し出してきた京介の顔面に、あたしはジップロック兄パンごとクッションを叩き付けた。 結局、生きることも死ぬことも出来ないまま、あたしの8月2日は過ぎ去った。 兄パンは京介に返却されることも無く、ジップロックされたあたしのパンツと共に、再びアルバムの下へと仕舞われたのだった。 だって仕方ないじゃん? あのまま兄パンの封印を解くことなんてできないし、あたしのパンツもなんか京介の匂いが染み付いちゃってる気がするし…… でもあたしはあきらめの悪い女、高坂桐乃。 いつか兄パンの誘惑に完全に打ち勝つことが出来たら、その時こそジップロックの封印を解いて、ちゃんと手入れをしてみせる。 京介だって妹パンの誘惑に克って、ちゃんとあたしに返しに来ることができたんだ。 きっと、あたしだって今のあたしを越えていけるはず。 だから、今はその暗い場所で、じっと開放される日を待っていて欲しい。 寂しくは無いだろう。 その傍らには、同じくジップロックされた妹パンがいるのだから。 -ANIPAN END- ----------
https://w.atwiki.jp/kotodamadiary/pages/59.html
「ツンデレちゃん」の詳細 画像 属性 ラブリー・クール 説明 皆大好きツンデレ娘。ふたりっきりの時はナイショだよ。 似たようなことだまっち OLちゃん サンデレちゃん フウデレちゃん ツンデレラ
https://w.atwiki.jp/kairakunoza/pages/1888.html
ある日のお昼休み。かがみは自分のクラスで、みさお・あやのとともにお昼を過ごしていた。 「でさー、そん時あやのがさ――」 みさおが中心になって、休日に遊びに行った時のことなど話している。あやのとかがみはほぼ聞き役だ。 「あんたら二人はホント、仲良いわね。姉妹みたいっていうか」 話が一段落付いたところで、かがみはしみじみとそう言った。 「んー、まあそうだな。でも、あやのもちょっと付き合い悪ぃ時もあるんだぜ」 「へえ、どんな時?」 「もち、こっち優先の時よ」 こっち、と言いながらみさおは親指を立てる。あやのは慌てふためき顔を赤くする。 「ちょ、ちょっとみさちゃん!」 「あー、確かに。いるとやっぱりそうなるんでしょうね」 「柊ちゃんまで……」 「今さら恥ずかしがることでもないじゃん」 「そうよ。別に普通のことなんだろうし」 「だろう、って付くのが私達の悲しいとこだな」 「言うな……」 独り身二人は苦笑いしながら肩を落とす。あやのは立場上、下手に慰めることもできずに黙っていた。 「そういえば、あやのって今の彼氏とどういうきっかけで付き合いだしたの?」 「おっ。何だよ柊。そんな情報仕入れて、これから彼氏作ろうなんて魂胆か?」 「そんなつもりじゃないわよ。受験もあるんだし……ただちょっと興味があるってだけで」 「本当かー? 自分だけ抜け駆けしようとか、いやらしいこと考えてんじゃないだろうなー」 「そんなことないってば――」 「『いやらしいかがみ』というキーワードに誘われてこなた&つかさが参上!!」 「いやらしくないって言ってんでしょうがー!」 「わ、私はそんな理由で来たんじゃないよう」 唐突に某漫画のパロをやりながら、騒がしくC組教室にやってきたこなたとつかさである。 「……で、つかさは何の用?」 「実は五限目の英語の教科書忘れちゃって……」 「あー、はいはい。こなたは? 同じ用件なら教科書は一冊しかないわよ」 「いやいや。私はツンデレーダーの赴くままにここへ惹かれてきたのだよ」 「何だよツンデレーダーって。意味が分からんわ」 ツンデレーダーとは 文字通りツンデレを探知するレーダーである。こなたのアホ毛から『ツンデレ萌え波』という電波を発し、それが目標物であるツンデレキャラにぶつかると、その反射波を受信して方向や位置を測定できる。主にかがみの捜索に用いられる。 「真面目に解説すんな! つか実際に存在しねえだろそんなもん!」 「まあまあ細かいことは気にせずに」 「あーもういいから。ほら、用が済んだらとっとと――」 「ところでかがみが彼氏を欲しがっているというのを小耳に挟んだんだけど」 追い返そうとするかがみを尻目に、こなたはみさおへ話しかけていた。 「いや、別にそういうわけじゃないぞ。流れでそういう話題が出ただけで」 「あ、そう。それなら安心だね」 「何よ安心て。あんたも抜け駆けされるのが嫌とか言うわけ?」 「抜け駆けとかじゃなくて、かがみに彼氏とか出来たら私がすごく寂しいじゃん」 「え……」 思いがけないこなたの台詞に、かがみは言葉を詰まらせる。 「かがみほどの突っ込み属性とツンデレっぷりを誇る猛者は他にいないからね!」 「って、そういう話かよ!」 「んー? じゃあかがみはどういう話と思っていたのかなー?」 にんまり笑みを浮かべながら、こなたはかがみの体にペタリとくっつき、頭を撫で撫でする。 「ちょっ、やめっ……触んなこら」 「ほっほっほ。可愛いねぇ、かがみは」 そんな二人の様子を、みさお達は少し離れたところから見ていた。 「あの二人も相当仲良いよなー。姉妹みたい……つーか、柊の妹はちょっと妬いたりしねーの?」 「え? んー……そういうのはないかな。私もこなちゃんと仲良いし」 「そっか。ちびっ子はお得なやつだなー」 「泉先輩は親しみやすいキャラクターっスからね。おかげでカップリングも色々作りやす――っとと、何でもないっス」 「あれ? ひよりちゃんいつの間に?」 どこからともなく湧いて出たひよりに、つかさが首を傾げる。 「私は百合ージスシステムを駆使してこの場に馳せ参じただけっスよ」 「百合ージスシステム?」 百合ージスシステムとは 独自の研鑽によりひよりが編み出した百合シチュ対応システム。目標(百合カプ)の捕捉・識別、萌え度の評価、タチネコの選別などが自動化されており、どのような状況でも効率よく妄想を膨らませることができる。自分を防衛する能力は無い。 「解説はもういいから! 離れろこなたーっ!」 「だが断る。この泉こなたが最も好きなことの一つは、大好きなかがみのツンデレっぷりを思う存分味わうことだ」 「……っ!」 『大好き』という単語が『かがみ』と『かがみのツンデレ』どちらに掛かるのか。そんな疑問がかがみの体を硬直させた。 「ツ……」 が、そんな問題はすぐに吹き飛び、次の瞬間には大きな声で怒鳴るかがみだった。 「ツンデレって言うなーっ!」 おわり コメントフォーム 名前 コメント いちゃつきやがって… ほのぼのGJ! -- 名無しさん (2008-04-03 12 11 19) オワタ(^0^) -- 名無しさん (2008-03-25 22 30 38) 萌え尽きたぜっ(^O^) -- 名無しさん (2008-03-25 21 38 16)